犬は恋敵
"南総里美八犬伝"の
八房の物語に触れたいと
思います、、
○敵将、安西景連の策略に万策尽きて
秤量も無くなり、自害するしかない
状況の中、里美義実は側に居た
八房に向かってこう言い放ちました。
『お前を我が婿にして、伏姫を娶せようか』
と·········
この時、八房は尻尾を振り、
頭をもたげて瞬きもせずに主人の顔を
熟視してから、わんと吠えた。
里見義実は苦笑いして、
「伏姫は私と等しくお前を
可愛がっているので、妻にしたいか。
敵を倒したのであれば、婿にしてやろう」
と厳かに言うと、八房は前足を折って、
主命を拝したかの様である。
八房は滝沢馬琴が書いた「南総里見八犬伝」
に出てくる犬。
人の言葉を解することができる里見家の
不思議な飼犬で、体に八つの牡丹のような
模様があることから八房と名付けられる。
⭕️滝沢馬琴「南総里見八犬伝」によると
忠犬八房には<八つの秘話>があると
言います。
1.南房総市に伝わる神秘の地、
犬掛生まれ
八房は千葉県南房総市の犬掛に
生まれたと言われ、
その土地の伝説を背負った存在。
2.眼光鋭く威風堂々たる体躯
普通の犬の倍はあろうかという大柄な
体躯と鋭い眼光、その姿はまさに
威厳そのもの。
3.白地に牡丹、八つの花が咲く
神秘の模様
八房の毛並みには、白地に八つの
牡丹の花のような美しい柄が浮かび、
その特別さを際立たせている。
4.巻いた尻尾が、愛らしい守護者
巻いた尻尾には愛らしさがあり、
勇ましさと可愛らしさを併せ持つ姿。
5.母犬の死と狸に育てられた過去
幼くして母犬を失った八房は、
狸に育てられるという異例の育ちを経て
成長を遂げた。
6.狸の字に秘められた里見家との縁
“狸”の字は「里に従う、犬に従う」を意味し、
その縁により八房は里見家当主・
義実に迎えられた。
7.人の言葉を理解する賢さ
八房は人間の言葉を理解する稀有な
能力を持ち、里見家において重要な
存在として仕えた。
8.伏姫への想い
里見家の姫・伏姫に対しては、
忠誠以上の想いを抱き、八房の行動の
原動力となっている。
○八房は敵将安西景連の首を
取って来て、形成逆転
勝利を収めました。
しかしながら里美義実の顔は
曇りました。
何故なら、
『敵を倒したのであれば、婿にしてやろう』
と言い放ったのですから。
犬の戯れ言と伏姫の婚礼を
認めない里美義実に、
実力行使しようとする八房の図
でしょうか···
約束は約束と富山に八房と共に
籠る伏姫、しかし婚礼は心のみで
触れる事は許さぬと拒否、、
行方不明だった金鋺大輔改め
丶 大法師が
殊勲を挙げようと富山の八房を鉄砲で
撃ちますが同時に伏姫に当たり
共に亡くなります。
伏姫の願いを込めて8つの珠が
天空に飛び散ります。
犬の気を孕んだ玉梓に呪われた
8人の剣士を探す為、
丶大法師の旅が始まります。
ここで八房の物語は終わり、
八犬伝の話が始まっていきます。
丶大法師 金鋺大輔はいづれは
伏姫と添い遂げさせるつもりの
里美義実だったので、
八房は獣とは言え恋敵。
殺したいほど憎かったのだと
思いますよ。
だから討伐と言う大義名分の元に
金鋺大輔は復讐する訳ですが、
伏姫をも失って、我に帰り
全てを受け入れる覚悟をしたの
でしょう···
八房の挿し絵は常に伏姫と共に
ありました。
獣とは言え一途に伏姫を
慕っていたのですね····
里美家を救った英雄なのですが、
こんな形で、命を絶たれる
八房はどんな、思いだったのでしょう
などと思ったら切ないですね···
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