starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

映画 八犬伝

八犬伝

公開2日目に見て来ました。

滝沢馬琴と

それを取り巻く家族や、

葛飾北斎との絡みが抜群に

面白く、そっちのストーリーに

引き込まれて、本来見たかった

はずの八犬伝は霞んで見えてしまい

ました。


そもそもキャスティングから

八犬士はまさに虚の存在と言う

べきか、自分には知らない俳優さんの

オンパレードでした。

まあ、ただ自分が無知なだけですけどね。


だとしてもそれを上回る

演技をしてくれれば全然問題ないと

思っていました。

しかしながら、現実と虚のパートを

代わる代わる見せる訳だから、

現実に重きを置いて、虚は

ダイジェストになるのは

覚悟してました。

しかしながら妖猫編では

雛衣の身を犠牲にした悲劇

あってのパートなのに、

ただの妖猫退治だけのパート描かれて

いた為、虚は

紙芝居的展開に

感じてしまいました。


山田風太郎の原作は読んで

ないので分かりませんが、

"こっちの浜路"は一命を取り留めた

んですね。


そんな展開を許せるのはやはり、

現実世界の偏屈の塊、滝沢馬琴

の役所広司。

そして妻、

お百の寺島しのぶが


『こ···んちく···しょう~!』


と絞り出す言葉に、

無念と、嫉妬と、憧れ

が交錯して絶命する壮絶な最後に

思わず身震いしてしまいました。


そして静かに寡黙に淡々と

馬琴の語り出す世界を書き写す

お路役の黒木華の、

決意と覚悟の演技。


宗伯役の磯村勇斗が、現実世界の

八犬士の悲劇を受け継いだ様にすら

感じてしまいました。


北斎役の内野聖陽が

ギラギラした目で

『おもしれぇ···』と言う言葉に

こちらも…

『そうだおもしれえよな~』

と答えてしまいそうでしたよ(笑)

ははは夢枕獏の世界観ですな。

陰陽師は登場しませんけどね~


なるほど····それを思うと

虚はあれで良かったのかと

思えて来ました。

浜路の本来の描写を

雛衣の悲しさをも描いていたら

現実も虚も恐ろしく重いストーリー

になっていたのではないかと···

だから虚は色使いも鮮やかで

ほんとに夢の世界の様でした。


題名は"八犬伝"ではなく

"八犬伝を取り巻く人達"

では?なんて思いましたよ。



そう言えば八犬士は皆、

身体の何処かに牡丹の痣が

あります、あれは

不吉な運命の比喩なんだそうです。

江戸時代、牡丹に雌木無しと

言われ

 種から育てると最初の花が咲くまでに

5〜10年を要するので、苗木から

育てるのが一般的なので

子供も育たず、子孫繁栄など

無いと言われ、八犬伝の

女性達は皆、志半ばで

絶命したり、不幸に見舞われる

運命にあったのです。


なので、八犬士にある牡丹の痣は

子孫繁栄など無いと言う不吉な

暗示と玉梓の呪いだったのです。

それ以前に犬の八房の名前も身体に

八つの牡丹の模様が見える事から

八房と名付けられています。

この頃から既に8人の犬の名が付く

悲劇の始まりを示唆していました。

しかしながら、勧善懲悪を

思い描いていた馬琴は

最後には皆姫をもらい幸せに暮らす

事になるのでした。


それと八犬伝は犬づくしで

有名ですね。

丶大法師の丶を大の右上に付けたら

犬になるので犬法師ですね(笑)


伏姫の名も安西影連の首を取り

殊勲となった八房に対し、

"人にして犬に従う"と言う

暗示がされています。


犬江新兵衛の母親の"ぬい"も逆から

読むと"いぬ"になりますね。


他にもたくさんありましたが

思い出せません····


八犬伝、思った内容とは

違っていましたが、馬琴の生涯を

八犬伝を通して体験したな····

と言う印象でした。