starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

家出娘とTOTOのロザーナと

1982年

親友の根津くんと、文代が

付き合っていたが、ヴァージンじゃなかったと言う理由で、関係が微妙になり

そこに、自分も入り込んで

しまっていた。


夜の8時頃に文代の友達の

友子から電話が掛かって来た。

『大変!文代のお母さんから、電話が来て、

昨日口論になって家を飛び出してから戻らないんだって!何処にいるのか知らない?と言われて、今から探しに行くんだけど、付き合ってちょうだい!』

と言われた。

『え~?なんでまた!何があったんだ』

と言ったら震えた声で

『分からないけど、一人だと不安だから

お願い!』

と言われて、

友子との待ち合わせの場所にバイクを

走らせた。

まだ春先だから、

夜のバイク走行は風が冷たい...

とあるゲームセンターの駐車場に、

友子の赤いアルトが停まっていた。

友子の車に乗り込んだのはいいが、

さて...何処を探せばいいものか、

さっぱり見当もつかない。

友子が


『根津くんにも連絡しないの?』 

と聞かれてつい.....


『あいつはもう関係ない』

と言ってしまった。

今は根津くんに介入して欲しくなかったのだ、付き合っているんだから本来は

言わなきゃいけなかったのに...

友子が、 

『え?』

と言った後、何も言わなかった。

色々察したのだろう......


文代の白いコロナを探しに

色々な店の駐車場を探したが、 

全く見つからない。

夜の冷たい空気に、道路の赤信号が

立ちはだかり、

行く手を阻んでいるようで

イライラだけが、募る。

しかし、友子は


『あそこだ!』 

と何かを思い出した様に、

とあるスーパーの

駐車場に向かった。

そのスーパーの端に

白いコロナがひっそりと停車していた。

さすがは親友だ、

行動が読めてるな...

隣に車を停めると、文代が

気づいた様だった。

友子と俺が車から降りると

文代は途端に号泣した。


『なんでいるのよ...?』

友子が

『お母さんが、心配して、

       連絡して来たんだよ』


いつもクールな笑みを

浮かべている文代が

顔をグシャグシャにして

涙を流していた。

何でも、お母さんが

ずっと不倫しているのに

自分の行動について、あれこれ文句を

言ってくるのに

我慢ならなくて、口論になり家を

飛び出したのだった。

友子と俺は言った...


『家出は何の解決にもならないし、

 出るならちゃんと準備しないと、

 駄目、その為にはしっかり働いて 

 自立しなきゃね』


と言う話になり、

文代は一応納得して、

帰宅する事になった。

友子は先に帰り、

俺は彼女の車に残り


『心配したんだよ』


と言ってキスをして、

白く柔らかな体を

確かめていた。



そして..............


『俺と付き合ってくれないか?』

と目を見つめながら

言った。

すると彼女は


『あれは、間違いよ』


と言う顔をしながら


『貴方とはずっと友だちで居たいの!』


と言って来た。


しかし、こうなった以上

もう、友だちではいられない自分がいた。

多分文代は、こんな関係でも構わないと、

思ってたみたいだった。

しかし、何もかも初めての

自分には、それが出来なかった。


『ならお前とは、もう会わない』

と言った。

すると彼女は涙を流して

泣きながら、


『そんな事言わないで、

会えなくなるなんて嫌!

泣きながら訴えられたが、


『俺と付き合う気がないなら、

もう別れるよ』


『もう、お前とは会わない!』


『嫌、別れたくない!』

『ずっと、友だちでいたいよ~』


『お前なあ、言っとくけど、

泣きたいのは俺の方だよ、

お前に振られたのに、

なんでお前が、泣くんだよ』


『そうだろ?(笑)』


『は..は..は..そうよね』


『駄目なの?』


『駄目!』


『嫌だよ...』


『............』


『よし!もう家に帰れ!

家まで、着いて行ってやるから、

真っ直ぐ帰れよ』


車から降りて、バイクで後ろから着けて、家の前でウインカーを点けたの確認してから、

手を振ってUターンして

そのまま、振り返らずに帰った。

もう、次の日の朝になっていた。

こうして、俺は完璧に親友と好きな女と、

同時に二人を失った。



.......根津と文代も別れたと知ったのは、

かなり後だったかな....




そう言えば、俺が事故で入院

してた時、毎日毎日、友子と見舞いに来て

くれたっけな....

ほんとに、毎日だった、まあ仕事の

合間の昼休みだけだったけどな...


その時TOTOのロザーナを

良く聞いたっけな....

まあ、歌詞の内容も

ちょっと似てるかな....(笑)



ロザーナ



朝目覚めた時にまず俺がしたいのは、君の瞳を見つめることだけさ

ロザーナ、ロザーナ

俺は考えたこともなかったよ、君みたいな子が僕を気にかけてくれるなんて

ロザーナ


夕暮れ時に僕がしたいのは、君をきつく抱きしめることさ

ロザーナ、ロザーナ

俺は知らなかったよ、君が俺とは全く違う人を探していたなんて


彼女が去って一年も経たずに、ロザーナ

今彼女はいない、そして僕は口にしてしまう

どうしても君に会いたいんだ

なんとかして君に会いたい、ロザーナ

どんなことをしても君に会いたいんだ

どうしても君に会いたいよ、ロザーナ


俺はまだ君の顔が輝いて見えるよ、向こう側の窓から

ロザーナ、ロザーナ

俺は知らなかったよ、君みたいなことが俺を悲しくさせるとは......