starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

スピリッツパーソナリティー⑬

睦美の中にいる人格は


美千代

由麻 と 水咲

アタル

みっちゃん

とーくん

イリア

裕貴

猫の りん

と、本人と弘が消滅して9人。


アパートの住人とのストレスが原因で

下痢と嘔吐を繰り返し、

最終的に自ら救急車を呼び

何度か病院に運ばれる事が続き

精神科に入院する事が決まった。

本人の意思による物もあるが、

入院して点滴して、体力が回復して

退院して、アパートに戻ると

また症状が復活し同じ事の繰り返しになってしまうのが原因だからだ。


アパートに戻りたくないと言っても

病院の内科では体力が回復したら、退院して下さいと勧告するので、従うしかない。

本人は精神科に行きたいと言ってた

らしいが入院先に精神科が無かった

為に、話がスムーズに進まなかった

らしい。

同じ症状を繰り返していたので、

さすがに今回は精神科への入院が

が、決まった。


いつまで入院するかわからないが、

スマホ等の操作の時間の制約が

あるらしく、連絡は定期的になった。


主人各の、裕貴は

『もうあのアパートには帰りたくない』

と、言っていた。

真下の階の前科者を名乗る男と、話好きの取り巻き、二階の真向かいの見たこと

の無い覗き魔?らしき人達が、

住むこのアパートの住人は恐らく

生活保護の受給者と、思われる。

なので、外出する度に顔を合わせる

機会も一般の人達よりは多くなる

と思う。

そうなると、上手く近所付き合いも

しなくてはならなくなり、


『俺は前科者だから、怒らせるな!』


みたいな脅しをかけられた事も、

好きでもないのに、やたら話しかけられる事や、部屋をポストの小窓から覗かれたりした事など、裕貴にとっては

耐え難いストレスになっていたから

限界を超えていたのだ。


しばらくして、電話が来た。

内容は部屋から服を持ってきて欲しい

との頼みだった。

合鍵は持っているので、部屋に入り

シャツやトレーナー、下着など

用意して持って行く事にした。


部屋は1Kで布団は万年床、特に

物は無いのだが、何となく散らかった

部屋だった。

言われた服を、適当に見繕って

長居せずにすぐに切り上げて、

病院に向かった。

2年くらいは経過しただろうか....

ここに来るのはこれが最後になった。


そして面会に行って鉄格子の向こう側

に案内された。

裕貴は明るく元気にしていた。

着替えを渡して、


『どうだい調子は?』と聞くと


『あそこに居るよりは快適だよ』


『ただ自由に、タバコが吸えないのが

残念だよ』とにこやかに話した。

猫のリンが現れて

『お前も元気にやってるにゃか?』

と聞いてきた。

『おお、元気だよ』

『それは良かったにゃ』


美千代も現れて

『貴方とセックス出来なくて寂しいわ』

と、言われて

『俺も残念だよ』と言った。




腕にブレスレットみたいなのをしてて

週に何回か外出も可能らしいが、移動

制限もあり病院より半径何百メートル

以上になると腕のアラームが鳴り

外出禁止になるらしかった。

なのでアパートに帰って戻るには

時間と距離が足りなさ過ぎた。


だから俺に着替えを頼んだのだった。


明るい日射しの下で、あのアパートから

解放された満足感で、柔らかい笑顔

だった。

そして、精神科医と福祉課との話し合いで、アパートではなく施設に入居する事が決まりそうだと話して来た。

それも現在の場所とは遠く離れた、

知らない土地の施設だった。



『そうか、あそこから解放されるなら

良かったじゃないか!』

と祝福した。


今の裕貴は俺と会えなくなる事を

既に覚悟して、施設で静かに

暮らす事を心待ちにしている

様だった。


『じゃあ、またな!』と言いながら

別れて鉄格子の向こう側に歩く

裕貴.....睦美はにこやかに別れて

振り返らずに真っ直ぐ歩いて

見えなくなった。


これが俺と裕貴が会うのが最後だった。


前に通っていた、精神科医から

貴方の為に早く別れなさいと

言われた言葉に押されて、

俺は少しづつ距離を置いた。


そして、俺は職場移動となり他の地に

転勤になり、多分会えないと裕貴に電話で

告げると、

あっさりと『仕方ないね....』

と言われて、『でも別れないからね』

『貴方とは、別れないから!』

と強い口調で言われた。


『まさか別れる気?なの』

と言われて、


『.........』としばらく無言だった俺だが


『だってもう会うのは難しいと思うよ

それよりは。新しい彼を作りなよ

もう、助ける事も出来ないしな』


『その方がお前の新しい人生も

開けるじゃないか?

離れているし、俺は結婚していて身動き取れない

んだし、それにお前を縛る気はないよ』


『離れていても、いい、貴方はずっと

私の彼氏なんだから!』


と、言われて

"もう終わりにしたい"と言えなくなって


『たまに連絡取るだけになるよ。』


と言ったら、


『構わないよ、私はずっと別れないから』


と言われた。









1ヶ月後くらいに精神科を退院して

山の奥の施設に入居したと、電話が来た。

そしてアパートを引き払うので、

鍵を、返却して欲しいと言われて

郵送で送った。

荷物を整理しにあのアパートに一回戻ったらしく

殆ど処分したと、言っていた。

昔、誕生日にプレゼントした熊のプーさんの

ぬいぐるみは1番大事だと言って持ち帰った

とみっちゃんが嬉しそうに話した。


『プーしゃんと、いつも一緒にねてるよ~』

と言う事だった。


裕貴....睦美は新しい生活をスタートした。

今度こそ自分の為に幸せになって欲しいと

俺は願った。

施設と言っても、1人住まいで独立して

部屋の人たちと顔を合わせる事は無いと言う。

冷凍の弁当をまとめて購入するシステムで、

外界とはあまり接触する事も無いと言っていた。


静かに幸せに暮らし始めた矢先なのに...

運命はまた、彼女から自由を奪う事になった。

腎臓を患い、人工透析を2日に一回受けなければ

ならない身体になってしまったのだ。