starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

スピリットパーソナリティー⑪

睦美の中にいる人格は


美千代
由麻 と 水咲
アタル
みっちゃん
とーくん
イリア


と、本人と弘が消滅して7人。


しばらく水咲が主人格だったが、
ある日、ファミレスでご飯を
食べていたら....
顔つきが変わり、眉間に皺が寄った。
あ、誰か出てきたな...と感じた。
明らかに男の表情なので、
まさか、弘が復活したのか?
と身構えた...


『よう』と挨拶をされた。


『お前は誰だ?』と聞いたら


『俺の名は.....』


『裕貴だよ』と言った。


てっきり消えたと、言われた弘が
復活したのかと思った...


あ弘じゃなかったんだな....


そしていきなりファミレスのナイフで


腕を切り始めたのだった。


『ちょっと急に現れて、ナイフで
切るなんて穏やかじゃないな』


と言いながら阻止した。



『このまま喉を
掻ききってもいいんだぜ』


新しい人格が現れると大体
最初、手がつけられないけど、
裕貴はいきなりだな~参った。


ちょっと前に、水咲から聞いた。


兄貴からお金を借金して
素行を厳しく注意されて、
毎日、毎日、毎日、
ののしられたのだと言っていた。


それで精神が耐えられなくなって
今裕貴が生まれたのだろう.....


まあ、死ぬとか言ってるが、これは
助けて欲しいのだと理解
出来る。
しかし無視したらホントに
身体に深い傷を付けるので、
本気で阻止しなければならない。
しかも、ファミレスでそんな騒ぎ
だなんて、冗談じゃない。




以前睦美本人が消えかかっている
状態で、意識がもうろうとして
いて心ここにあらず....だった。
ちょっと目を離したら
海に飛び込もうとフラフラと
冷たい風の方向に向かっていた。
そして、静かに
『飛び込ませて、死にたい』
と切れ切れの声で、何度も語り
そして、阻止した。


水咲や由麻に、助けを求めて


『お前達が常に出て、睦美 を
阻止してくれ』


と、頼んで自殺を止めた。


『うん、分かった、頑張る』


と水咲と、由麻に出て
もらっていた。
彼女らが出ると、睦美は引っ込むので
普通に建物に戻ってくれた。
取り敢えず、休める.....


『水咲ありがとう』


『どういたしまして、でも気を抜くと
出たがっているから目を離さないでね』


海に飛び込もうなんて....
睦美は多分、
全力で止めて欲しかったんだろう
な.....
それを分かっているから、半分
いい加減にしろ!と思っていた。
でも、中途半端に扱うと、勢いで
飛び込むのは目に見えている。
だから、気は抜けない。
多分まだ春は遠く、冷たい岸壁から
飛び込まれたら
俺は助けに行くだろうか......
多分迷って、飛び込まず
回りに助けを求めるだろうな
それでは手遅れかもしれない....


だから全力で
阻止した
そんな事もあった.....


だから、生まれたばかりの裕貴に
ナイフで傷つけられる事は
こちらも、全力で阻止する。


裕貴が言った。
『お兄さんと呼ばれる人にお金を
借金して、人間のクズだとか、恥だから消えて欲しいとか、早く出ていけとか
言われて辛かった』


『お父さんと呼ばれる人はそんな
俺を気にもしていない様だったよ。
話しかけもしなかったし、黙ってテレビを見て笑っていた。』


『だから俺は死んだ方がいいんだよな
いつも、死にたい、死にたいと思っていいた』


親子の前では、存在が失くなった
睦美の真似をして話しているのだと言う。


睦美は弘に飲み込まれて、そして
消滅した。


睦美の意識がしっかりしている時は


『早くかあしゃんの所に行きたい』


とか


『かあしゃんに会いたい』


とか口調が子供じみて言っていた。


母親が、他界した事であの家族は
精神的に睦美を無視して排除
したのだった。


いつから多重人格になったのか
知らないが、この今の家族が
そうさせた可能性は高いだろう...
と思う。


睦美にはレズビアンの友だちも
いたのも聞いていた。
しかし睦美はあまり彼女を好きでは
なかったらしい。
何度か連絡しあってたらしいが、
自殺したらしいとある日言っていた。
そして、自分も死んだ方がいいのかな
と、遠くを見つめながら語っていたな


あの家庭にいる限り、新たな人格が
生まれ続ける可能性は高いと感じたよ


生まれたばかりの、裕貴を見て
そう実感していた。


睦美は家族に耐えられなくなり
徐々に
精神が虚ろになり、声も切れ切れに
なり、やがて弘に飲み込まれて消えた。


それ以来2度と母親の話をしなく
なり現在に至る....だ。


区の方に、相談しに行こうと裕貴に
持ちかけたが、


『行って何になる?』


と言われたが


『行動しないとこのままだよ?』
『あの兄貴と父親と一生暮らすのか?
脱出出来るチャンスなんだそ。』
と持ちかけたら、落ち着いて来た様
だった。


『一緒に行って話を聞いてみよう』


『だから切るの止めなよ』


と言ったら
少しづつ力が緩み、ナイフを手から
放してくれた。


そして


『うん、わかったよ』


と素直になって、やっと落ち着いてくれた。



そして


『ねえ、今から抱いて』


と美千代が出て来て、ホテルで激しく
求め合った。
美千代はホントに感度も良くて
1度に何十回も逝く身体だった。
由麻も出てきて、締め付ける
ポイントが変わった。
多重人格は心もだが、身体も
変化するので凄いと思う。
水咲が
『初めてなの!』
と言った時は、ほんとに身体が
震えていたし脂汗をかいていた。


そして美千代と由麻と2人を?
抱いてしばらくしてから、
遂にイリアが現れた。


『何で私だけこんなに苦しまなきゃ
いけないの!』
と叫んだかと、思うと
無表情な冷めた顔つきで、俺に
手を挙げてきた。
物凄い力で、馬乗りになってきた。
そして首を絞められた......


『何もかも私に押し付けて
他の奴らは随分楽しそうじゃないの!』


『お前らは、私の苦しみを知らない!
お前を殺してやろうか!』


『おい....おい....殺すなんて穏やかじゃ
ないな....』


『お前は誰なんだ、なんでそんなに
苦しいんだ?』


と聞いたら、
『暗い所に閉じ込められて、苦しかった
辛かった、でも誰も助けてくれなかった
だから、みんな大嫌い、みんなイリアの
事なんか。どうでもいいんだ!』
『だからみんな、壊してやる!
『お前も、傷めつけてやる!』
イリアは全く手加減なしで、力を
込めて来た。
所詮は女の力などと、タカをくくって
いたが、なかなかどうして
侮れない持久力と言うか、執念と言うか
ちょっと、力を抜くとすぐに殴り
かかろうと、してくる。
そんな状態が数十分続いただろうか?
さすがに、こりゃまずいな....
と思い、他の人格を呼んでいるのだが、
イリアのパワーが強いらしく、
誰も出て来ない。
こりゃほんとに、どちらかが怪我する
雰囲気だな、ずっと押さえているが
どうにもならない...
そしたら
『俺なら止められるよ』
と急に力が緩んだ。
やっとこの、状態から解放されて
汗だくの身体と腕を伸ばした。


さっき生まれたばかりの裕貴だった。


『俺ならイリアのこの怒りのエネルギーを
分離してまともに出来るよ』
と言った。
『なんでそんな力があるんだい?』
と聞いたら、
『さっき生まれてパワーが溢れているんた
、お前に希望をもらったから
イリアのこの怒りを、引き裂くのは
簡単に出来るよ』
と、言った。


『ほんとか~裕貴カッコいいじゃないか!』


『じゃあやってくれ!裕貴』


『おう任せとけ』


と言って
急に黙り始めた。


遠くを見つめて
放心状態になっていた。


多分中でイリアと、戦っているのだろう‼️
5分から10分だろうか、....
放心状態が解かれて、普通の裕貴の
明るい表情に戻っていた。
そして、『終わったよ』と軽く一言。
ほんとか?と思いながら
恐る恐る観察していたよ。
また、イリアに戻られて首を絞められたら
たまったもんではない!
裕貴が『今までの記憶は一切排除したから
大丈夫だよ』と言った。


そして再びイリアが出て来たが無表情で、感情が無かった。
年齢は10歳と言う事だったが
怒りの感情が抜け落ちて、醒めた物言いに終始していた。


この日から、殆ど主人格は裕貴に取って代わった。
明るく素直な性格で弘の感情の片鱗など微塵も感じさせないほど、純粋な考えの
持ち主だった。


どうも女性が主人格になるより男を望んでいるらしく、裕貴の
割合が増えて来る様だった。
過去に強姦されてボロボロになり
強くありたいと思う気持ちが、
男の人格を作っているのだと感じた。


裕貴は設定年齢が20代前半らしく
素直な性格で、弘とは真逆の性格
だった。


そしてある日区に相談に行ったら
福祉課と言う所に案内されて
女性の相談員がやって来た。
小柄で色黒の佇まいで、目はしっかりと
こちらを見ていた。
彼女はケースワーカーと言った。


ケースワーカーとは..
病気や高齢、貧困で生活に困っている
人々に対し、福祉事務所で一人ひとりの
問題(ケース)
について相談を受け、必要な支援を行う。
 福祉事務所では、生活上の悩みや
問題を抱えた人が相談に来ると、
面接担当のケースワーカーが相談を受け、
何が問題で、どのような支援が必要なのかを把握する。支援が必要と判断されると、
支援の種類や方法を決め、
具体的な手続を行い、他に利用できる
支援についても説明する。
 (ネットより抜粋)


こうして区の福祉課に予約を入れて、
ケースワーカーなる人に、
家庭に於ける今までの経緯を
説明し、精神障害の為、
仕事が出来なくなった
母親の死後父親と兄のネグレクトのせいで、不眠症にもなりリストカットもしている。
精神科ではもう強いクスリは出せないと言っている。
このままでは、家庭の中の生き地獄なんです。と状態を説明した。


『そうですか....分かりました』


『しかし、父親と、お兄さんがおります
から、普通ならそちらで看てもらうんですけどね、』
『ネグレクトと言うならなるべく早期に
お父様と、お兄様に連絡して確認しないといけませんね....』


ケースワーカーさんは真摯に対応してくれて、

否定的な事は一言もなく、この地獄から一緒に

救ってあげると言う、強い意思を感じた。

恐らくこれ以上の不幸な女性や、子供たちを

見て来たのであろう。

揺るがない鉄の様な心が伝わって来た。


睦美に化けた裕貴は照れながら、

『早くあの家から出れるかな..』と希望を感じ始めていた。