starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

スプリットパーソナリティー⑦

睦美の中にいる人格は


美千代

由麻 と 水咲

アタル

みっちゃん

とーくん

と、本人を含めて8人いる....





毎晩、毎晩、夢に亡くなった母親が現れる。

既に崩壊している家族の為、墓参りになど一度も行った事など無かったと言う。


耐えられなくなり、遂に墓参りに行く事にした。

電車に揺られる事、約一時間半。


駅に着いて回りは閑散とした風景......


......静かだ。


睦美の中の弘が、

休みたいと言うので、

コアと言う小さな喫茶店に入った。

カウンターの席に座ったら、

椅子がギイ......と軋んだ音を立てた。

年老いて元気な女マスターが、


『何にしますか?』


と手慣れた感じで尋ねてきた。


カウンターに置いてある

マトリョーシカを眺めながら、

アメリカンを頼んだ、

連れはアイスミルクティーを頼んだ。


行く予定のお寺を尋ねると、


『左に曲がって左だと』


教えてくれた。

近道が有るらしいが、工事中でずっと通行止めらしい。


薄いアメリカンを飲み込んで、店を出た。


お寺はすぐに見つかった。

小さな田舎らしいお寺で、

墓も思いの他少なかったので、

住職はすぐに探し当ててくれた。


睦美は何も知らないので、

俺が軽く掃除して

線香を手向けさせて、

花を添えて短い時間で

彼女は拝み終わった。



彼女は場の影響を受けやすい

タチで程なくして頭痛が襲って来た

らしい....

フラフラして、

ただならぬ雰囲気になった。

そして、


『あっ!』


と声を出したので、


『どうした?』


と聞いたら


『左腕を誰かに掴まれたと!』


と言った。


『お母さんじゃないのか?』


と俺は呑気に言った。


『多分ありがとうの

意味じゃないのか?』


と勝手に推測して言った。


一緒に取り乱すと、怖がるので

気にしない振りをしたが、

何かに魅いられたかもしれないので、

早めに離れた方がいいな....

と、思った。


一応俺も拝めと言われてたので、

墓前に手を合わせて、

心で語りかけた.....


『貴女の家族は崩壊して、

もう修復不可能だ。

お前の娘を、ここまで連れて来て

やったんだ!

母親ならしっかり娘を見守れ!』

と強い口調で心で言った。


睦美は“当てられた“らしく


ぐったりしていたが、


帰宅の電車では睡魔に襲われて

寝てしまっていた。


そして今まで見ていた母親の夢は、

その日を境にピタリと、

見なくなったと言う。


母親が寂しかったんだろうか....

娘に、来て欲しかったんだろうか...

良くは分からないが、

やることはやった。




そして弘の人格が、睦美を呑み込んで

表に、出せなくしてしていた。

由麻と水咲が代わる代わる現れて

不満を、言ってきたのだ。

何でも、弘が俺を独占したくなって

他の人格に圧力をかけて、出さなく

しているのだと言う。


『アタル?どういう事なんだ?』


『そもそもお前たちは1人の人間

なんだから、俺を独占っておかしく

ないか?』


『みんなそれぞれ考えが

違うんだよ、だからこうなるんだよ。』


『変な話だな....何とかならないのか?』


『ああ、弘には俺から言っておくよ...』


『睦美はどうなんだ?いるのか?』


『どんどん意識が薄くなって

最近は昔の事も忘れてきたみたいだよ』


『消えかかっているんだよ、

だから、弘に圧力を掛けられてるんだ』


そして、しばらくして

睦美は消えた....


もう呼んでも答えなくなっていた。


そして、2度と死んだ母親や、兄や


父親の話を身内として捉えなくなった。


戸籍の名前は睦美だが、今は


弘と言う名前の人格が、大きく


支配していた。


そして、弘は生活に困窮していると


女性の知り合いや、


あちこちからお金を、送金させて


礼も言わずに、放置して


トラブルになっていた.....