starressのブログ

日々の、出来事を何となく綴りたいと思います。

電車で偶然に....

しかし同じ電車の両隣に、

嫁と彼女が偶然、座るだなんて

テレビドラマだけと

思っていたが、ホントに

起きてしまった。



5年前くらいの話だが.....


嫁さんと二人で電車にり乗り

入り口の側の座席に座っていた。


次の駅でドアが開いて


何と付き合っている彼女、

陽葵(ひより)が、偶然乗ってきた。


長いスラリとした脚と美しく長い髪は

紛れもなく彼女だった.......


『何でこの車両に居るの?』


俺は首は動かさずに、視線だけで

彼女を追いかけていた。


背筋が凍った......


電車のドアが閉まり、彼女は首を少し

傾けて、まるで何も見てない様に

隣の席に座った。





俺は目を大きく見開いて、

瞳の黒目の

部分が“キュッ”と音を

立てて、小さく縮んだ様な気がした。

隣に彼女が居るなんて

余りにも衝撃的だった...





嫁は他愛ない話をして、俺に同意を

求めていた。


『ああ、そうだね、そう思うよ......』


左隣は嫁で、自分の一つ開けた右隣に

陽葵がじっと下を向いて座っていた。

陽葵は全く動かなかった。


嫁は景色の話をしてきた。


『あの建物は、何の店かな

何を売ってるのかな?

建物の形からスーパーじゃないよね?』


『最近リップクリームが合わないから

新しいのが、欲しいのよ

あそこに、売ってるかしら?


『ああ、あそこに、売ってると思うよ』


俺は横を向けずに真っ直ぐ正面を見ていた。

一つ席を開けた隣の横 視界に

陽葵が入って来る。


全く横を向かずに少し顔を上げたと

思うと、ややこちらに顔を向けた気がした。

テレビドラマじゃあるまいし、こんな

偶然あるわけないだろ?


こんな事..........あり得ない


彼女には、何も言ってないし、

彼女もいつもと

違う駅から乗ってきた。


10両もある電車なのに、何故同じ車両?



彼女は誰よりも、

好きでいてくれてるのを、感じてる。

嫁がいるのも、最初から承知していた。

ベッドでは、好き過ぎておかしくなりそう

と、囁いてくれている。

そんな彼女を、俺も大事に思っている。


だからこの状態をどうすれば、いいのだろう


嫁は真横を向いて、屈託なく話しかけている。

俺はそれに『そうだね』と相づちを打っている。


陽葵は真っ直ぐ前を見据えて、じっとしている


1駅が長い...


陽葵は降りない。


客が入り、俺の隣に座った。

席が埋まり、陽葵の姿が見えなくなった。

しかし携帯を取り出して、打ち込む姿を

感じる事が出来た。


俺の携帯が震えた.....だが、とても見る事が

出来なかった。


2駅.....3駅 彼女は動かない....

まだ降りないのか?

4駅、変わらない。


自分たちは、ゆっくりと立ち上がり

5駅目で降りた。


ドアが開いた。


陽葵も同時に立ち上がり、同じドアに

向かって来た。

陽葵の気配を背中に感じたので、

嫁を先に行かせた。


少し遅れて電車から出た所で、

陽葵が真後ろに居た。

嫁は真っ直ぐ前を歩いている所に、


陽葵は俺に


  ”ドンッ”   と


ボディーアタックを、仕掛けて来た。


姿勢を崩し振り返り様に、陽葵の

顔を見ていた。


陽葵は泣きそうな顔をしながら、

同じ様に、


『なんでいるのよ?』


『こんな姿、見せつけないで!』と


瞳が語っていた.....




そして


           『フンッ❗️』


と言って横を向いた....


その目は哀しく、じっと俺を見据えている

気がした。


その瞬間、前を歩いていた嫁が振り返った。

不思議な顔をして、


              『どうしたの?』


と聞いて来た。


『いや、なんでもない』


と答えたら、不思議な顔をしながら


『何やってるの?行こう』


と、前を向いた。



そして俺は、後ろを振り向かずに階段を

降りて行った


陽葵には


『階段を2人楽しそうに

                                 降りて行ったね』


と後から言われた。


この日は、陽葵も

同じ駅で友人と

逢う約束があったと言う事だった。


待ち合わせがなければ、

付いて行くつもりだったとも言われた。




陽葵からは


『それでも好きだから、別れられないよ』


と言われたので、申し訳ないのだが、

ホッと胸を撫で下ろした....